奈良時代の僧行基によってつくられた布施屋が宿の始まりと されています。本書では、行商のための商人宿、伊勢神宮等の 参拝信者の宿や江戸の旅籠、各地の温泉宿、さらにはホテルや 学生の下宿に至るまで、それぞれの宿の機能や役割があげられて います。宿場の写真に加え、旅の様子が古くは古典絵巻物や 浮世絵で紹介されています。全国を旅してまわった民俗学者の 著者ならではの視点で書かれた日本の宿の歴史がわかる一冊 です。
日本近代ホテルのさきがけである帝国ホテル、日本文化を コンセプトとするホテルオークラ、日本初の超高層建築で常に 新しさを求めるホテルニューオータニは、“ホテル御三家” と呼ばれ国内外で高い評価を受けています。本書では、伝統と 規模と最上級のホスピタリティを兼ね備える3つのホテルに ついて、始まりや発展に尽くした人々、受け継がれるサービスや メニュー、宿泊した著名人など、その知られざる逸話を知ること ができます。
観光旅行において宿泊施設は重要な要素ですが、日本旅館には 旅館の伝統や日本文化を伝えるおもてなしの象徴である 「おかみ」の存在があります。社会状況の変動の中で旅館業は 発展し、おかみという立場が生まれ、求められる役割も変化 してきました。本書では、昭和50年代の新聞や雑誌を中心に 分析してメディアにおけるおかみのイメージの形成過程を論じ、 現地での聞き取り調査をもとにおかみの労働実態を追究します。
京都の町家旅館の運営を任されることになった著者。 立上げ時に関東から京都に移り住み、「東女」が京都に感じる カルチャーショックが軽快な文章で綴られています。 開業準備を進める中で京都人との関わりや経営の大変さと 楽しさ、外国人観光客に楽しんでもらう工夫などの記述が 面白く、読むと旅館で働いている気分になります。 季節ごとのエピソードやおすすめスポットの紹介もあり、 誰もが京都に行きたくなります。