はじめに
日々の暮らしを彩る器の数々。日本には様々な陶磁器・やきものがありますが、普段使いの現代の器は、実用的であると同時に見るだけで私たちの目を楽しませてくれます。
日本のやきものの歴史は、古くは古代、縄文まで遡ることができます。日本各地から出土している縄文土器の多様さに驚かされますが、その後も日本各地では、瀬戸焼、常滑焼、備前焼と多くの窯が開かれ、特色あるやきものが作られてきました。長い歴史の中で、中国の唐三彩や、ヨーロッパにおける伊万里焼など、海を越えた渡来品は人々を魅了し、その土地のやきものに影響を与えました。
また、茶の湯の流行により新たな美意識が生まれたことや、柳宗悦が提唱した「用の美」をきっかけに、日用の美しさが見直されたことで、やきものの趣向は時代により移り変わりを見せると同時に、人々のやきものを見る目は培われてきました。
今回の展示では、やきものの歴史など知るための「やきものを知る」、作家や各地のやきものを見るための「やきものを見る」、やきものを楽しむ旅に便利な「やきものの産地を巡る」、生活を豊かにする「日用のうつわを楽しむ」、自分で作るための「やきものをつくる」に分け、当館の所蔵資料から、司書が選んだ陶磁器・やきものを楽しむ本を紹介します。