日本美術の一つであるやきもの。日本のやきものの様式・技法・名称などの基本知識、鑑賞のポイント、世界最古といわれる縄文土器から始まる大きな歴史の流れ、日本人がやきものを作るために築き上げてきた技の数々などについてわかりやすく紹介されている。やきものの美と技の秘密を図解でひも解くことができる入門書。
日本各地で作られ、工芸の中で最も身近なやきもの。本書は、縄文時代から現代におけるやきものの歴史がコンパクトにまとめられており、日本陶磁の技術・様式系統図、近・現代やきもの関連年表などの参考資料も充実している。オールカラーで296点の図版が収められており、日本のやきものについて学ぶ際の入門・案内書として必携の一冊。世界の陶磁については、姉妹編である『世界やきもの史』に詳しい。
日本各地で発掘される土器。日本人は太古から土で貯蔵・調理・食事に使う壺・甕、鍋釜、鉢・坏を作ってきたが、現在の伝統工芸と直接には結びつかないために、その技法や用途は、痕跡や環境から推測するしかない。たとえば煮炊き用の土器は、こびりついたススや焦げで判別され、それらがどこについているかで火の当て方がわかる。本書は東アジアの食もからめ、時期や地域ごとに形・作りが異なる理由、製作技術の工夫も解明している。
陶磁器は、歴史を写す鏡である。中世の日本には、大陸から多くの陶磁器がもたらされ、国内での製作が難しかった青磁は「唐物」として珍重された。中国の陶磁器は、東西貿易で西アジアまで広く行きわたり、大航海時代にはヨーロッパにも輸出されるが、中国王朝の衰退とともに日本の陶磁器が勢いを持つようになる。海外で高い評価を得ている肥前の磁器「伊万里」は、どのように生まれ、輸出されたのか。グローバルな陶磁器の歴史がわかる研究書。
民衆のつくりだす工芸品の機能性と美しさに光を当て「民藝」という言葉を生み出し、その価値を広めた柳宗悦。本書は昭和10年代に日本中を旅して綴った記録であり、日本の風土に育まれた普段使いのやきものが様々な民藝品とともに紹介されている。柳は各地の特色ある手仕事を通して日本の姿を見つめ、人々に伝えようとした。今は滅びてしまった手仕事も残念ながら含まれているが、本書が多くの人に読み継がれ、一度は消えた手仕事が復興することを望まずにはいられない。
金継ぎ(金繕い)がひそかなブームであるらしい。器を単に修復するのではなく、漆で割れや欠損を継いで、さらに金粉などで装飾する技法であるが、日本人はその繕われた姿に美を見出す。「よびつぎ」はさらに全く違った陶磁器の破片を継ぐ。本書は、形の違うものが一つの茶碗として形を成すまでの気の遠くなるような時間に思いをはせ、「よびつぎ」の美に、染物の辻が花の図柄、掛け軸の表装に通じる日本人の美意識を取り上げた佳作である。