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眉村卓

1934年、大阪市生まれ。本名・村上卓児。
学生時代より文芸に関心を持ち、高校時代は俳句部に在籍。小説も会社に就職したころより本格的に執筆を開始し、1961年「下級アイディアマン」で第1回空想科学小説コンテストに佳作入選し、デビュー。1963年初単行本『燃える傾斜』を発表して専業作家となる。個人と組織を描いた作品が多く、代表作には1979年に泉鏡花文学賞を受賞した『消滅の光輪』を含む司政官シリーズがある。また何度も映像化された『なぞの転校生』『ねらわれた学園』などのジュブナイル小説で人気が高い。
小説のほか、作品としてエッセイ、句集も刊行。近年は2002年に病没した悦子夫人のために書かれた作品群『日がわり一話』が話題となり、映画化もされた。
画像:なぞの転校生

『なぞの転校生』

角川書店 1985年

 大阪の阿南中学校に、東京から山沢典夫が転校してきた。美少年で学業もスポーツもずば抜けて優秀。ところが、突然雨に放射能が含まれていると怯えたり、ジェット機の轟音をミサイルと間違えたり、挙動がおかしい。行き過ぎる科学進歩や、それに伴う悪影響を心配する彼は一体何者なのか。
 テレビドラマ化、映画化された眉村卓の代表作。初版は1967年に盛光社より出版。2004年に出版された講談社の青い鳥文庫は、内容が現代に合うよう改訂されている。

画像:まぼろしのペンフレンド

『まぼろしのペンフレンド』

角川書店 1983年

 中学1年生の渡辺明彦は、大阪に住むという見知らぬ少女・本郷令子から手紙を受け取る。手紙には明彦のこと、家庭や学校のことを教えろという希望だけが書いてあり、謝礼として1万円札が入っていた。両親からは反対されながらもこっそり返事を出した明彦の身に、奇妙な事件が起こり始める。突然、全員がそっくりな男たちに取り囲まれて写真を撮られたり、父親が大阪の出張先で明彦と瓜二つの少年を見かけたり。やがて上京するという令子は東京駅に迎えにくるように指示するが、現れたのは明彦の写真を撮った男だった。1966年に雑誌「中学一年コース」に連載された。

画像:つくられた明日

『つくられた明日』 

角川書店 1980年

 新聞部の部長永山誠一は新2年生への引継ぎの日、副部長杉森あかねから占いの本を受け取る。その本は人間を260のタイプに分け、その一つのタイプについて毎日何が起こるかが書かれている未来を予告した本だった。次の日からその本に書かれた通りのことが現実になりはじめる。本を無理やり奪おうとするサファリルックの謎の集団や時間銃を持つタイムパトーロールとの対立に巻き込まれた誠一とあかねは時間の流れを変えようとする集団に対抗し戦うことを決める。1980年に角川書店より刊行。

画像:ねらわれた学園

『ねらわれた学園』

角川書店 1976年

 進学校の阿倍野六中では生徒のいたずらが多発していた。関耕児は進級間もないある日、クラス内で起きた問題を難なく解決し、クラス委員長に選ばれる。一方、学校内の生徒会長には不思議な力を持つ高見沢みちるが選ばれた。みちるは、乱れた学校を変えるためにあらゆる手段で生徒たちを取り締まるが、エスカレートしていくやり方に、耕児とクラスの仲間たちはついに抵抗を始める。反旗を翻す耕児たちの前に、みちると共に謎の人物京極が現れ、超能力で彼らに容赦なく襲い掛かる。
 何度も映像化された著者の代表的なSFジュブナイル小説のひとつ。1976年角川書店より刊行。

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