ファンタジーの歴史の中で、イギリスの作家たちが果たした役割は極めて大きな ものがあります。数多くあげられる重要な作家・作品の中でも、『ホビットの冒険』 『指輪物語』のJ.R.Rトールキン、『ナルニア国物語』のC.Sルイスは双璧と呼べるで しょう。二人は同時期オックスフォード大学で教鞭をとった同僚であり、パブに集った 彼らの交流が、作品を生み出す母胎となりました。 トールキンの『中つ国』、ルイスの『ナルニア国』は、いずれも現実から遠く離れた 空想の世界ですが、独自の歴史・神話・人々の営みを含む奥行きのある世界です。 古英語の権威であったトールキン、宗教者として尊敬を集めたルイスの素養は、作品 世界の構築に存分に注ぎ込まれ、空想の舞台に現実感を与えています。 この二人はハイ・ファンタジーのまさに「父」だったのです。