ココロはコトバにおさまるか?〜リアリズム児童文学
本を読んで受ける感銘は、大人にとっても子どもにとっても特別な喜びです。子どもは限られた環境の中で、本という大きな船に乗って豊かな経験をします。本の中の登場人物のことばが、読者にとってこころに響き、こころに残ることは、大人であっても子どもであっても等しく経験できる、本からの贈りものでしょう。 子どものため、特にヤングアダルトと呼ばれる十代の読者向けに書かれた本の世界を、広く大人にも伝えたいという思いから、リアリズム児童文学に焦点をあて、今回の展示「ココロはコトバにおさまるか?〜リアリズム児童文学」を企画しました。リアリズム文学とは子どもの現実の生活を舞台にした物語であり、人物や状況が子どもの視点で明快に描かれています。昨年の展示で好評であったファンタジー文学と、児童文学を分けあうものです。 今回は、人生の普遍的テーマである「愛」、家庭や家族をテーマにした「家」、友情をテーマにした「友」、戦争や時代に翻弄される「闇」、人生の曲がり角に立たされ困難に立ち向かう「生」、子ども時代の日常の幸福感を描いた「幸」といった六つのテーマを取り上げます。各テーマの本から選んだ、登場人物のことばに焦点を当てて本の紹介を行うものです。 ―コトバはココロにおさまるか。