人生の普遍的テーマである愛。(思春期の)子どもたちは恋愛という感情に揺れ動きながら、自分なりの道を見つけていきます。“愛がなければ・・・”
海を渡るジュリア』R.E.ハリス作 脇明子訳 岩波書店
「もう会えたのよ」とジュリアは言った。「それで十分だわ。」
四姉妹の長女フランセスの芸術の才能を陰で支え、家を切り回す次女ジュリア。隣家の地味だが誠実なジョフリーと恋に落ちるが、第一次世界大戦が二人を引き裂いた。ジョフリーのいる戦場に近づくために、ジュリアは医療部隊に入り海を渡る。(シリーズあり)
『からすが池の魔女』 E.G.スピア作 掛川恭子訳 岩波書店
「愛がなければ逃げ出せませんよ。」
熱帯の島で自由に育った少女キットは、孤児となり、アメリカの叔母のもとに渡った。
堅苦しい倫理にしばられた貧しい開拓者の暮らしは、耐え難く、唯一の友人となった老女ハンナに魔女狩りの魔の手が伸びる。
キットを支えてくれるのは誰?
『フランバース屋敷の人びと』K.M.ペイトン作 掛川恭子訳 岩波書店
「この先なにがおこるかわからないけれど、今より幸せなときがあるとは思えないわ」
5歳のときにみなしごになったクリスチナは、親戚をたらいまわしにされ、
12歳になりフランバーズ屋敷へとやってくる。屋敷の主で狩猟狂のラッセルおじさん、性格のまったく違う兄弟マークとウィリアム、親切な馬丁ディックなど、様々な人との出会いがクリスチナを変えてゆく。(シリーズあり)
『あのころはフリードリッヒがいた』
ハンス・ペーター・リヒター作 上田真而子訳 岩波書店
「・・・・それから一週間、ぼくはいこうかいくまいか、ずいぶん迷った。でも、日曜日、やっぱりいかなかった。
いけないじゃないか!ぼくといっしょにいるところを見つかったら。彼女は収容所ゆきなんだもの!」
ヒトラー政権下のドイツ。ユダヤ人のフリードリヒは、ドイツ人のヘルガという少女と出会い、恋をした。
しかしその頃ユダヤ人は、厳しい立場に立たされていた。ドイツ人の少女と外を歩くことは、相手にも危険を及ぼすことになると悟ったフリードリヒは、彼女との約束の日に会いに行くことができなかった。(シリーズあり)
『セバスチアンからの電話』
イリーナ・コルシュノフ作 石川素子・吉原高志訳 福武書店
「ゼバスチアンに手紙を書きたい。ゼバスチアンへ、今、私には、あなたが必要です。あなたと話がしたい。助けて欲しい。あなたが本当に本当に必要です。(中略)なにばかなことを!私は手紙は書かない。電話もしない。じっと座ってくよくよなんてしない。自分一人でなんとかしなくては。」
バイオリンの練習に明け暮れてばかりの恋人、ゼバスチアンとけんか別れをしたザビーネ。
父の独断で郊外へ引っ越したザビーネ一家。何でも父の言いなりになる母の姿に反感を持ちながら、
ザビーネはゼバスチアンと過ごした日々を回想していく。